事例インタビュー
CASE
「次は誰に売ればいい?」の答えを匿名アクセス企業から見つけ出す
経営企画本部 環境・エネルギー事業センターが展開する「樹脂判別ハンディセンサー」。
当初はリサイクル事業者を主な対象としていましたが、Webサイト訪問企業を分析すると、想定外の業界からも関心が寄せられていることが分かりました。
どこどこJPで匿名アクセス企業を可視化し、GA4やAIの分析と組み合わせることで、新たな市場や用途を発見。ペルソナ検証や営業活動に活用しています。
今回は、
株式会社リコー 経営企画本部 環境・エネルギー事業センター 循環型ソリューション開発室 生産技術グループ担当 山田 晋太郎 様
株式会社リコー 経営企画本部 環境・エネルギー事業センター 事業推進室 商品サポートグループ担当 福田 竜一 様
にお話を伺いました。

売れた。けれど、「次に誰へ売るか」が分からない
本事業部では、複合機やオフィスソリューションで培った光学技術を活かし、新規事業として「樹脂判別ハンディセンサー」を開発・販売しています。
近赤外分光技術により、プラスチック樹脂の種類をその場で判別できる装置です。
製品開発から調達、製造、マーケティング、販売まで、約15名の少数精鋭チームが一貫して担っています。
当初の主なターゲットは、リサイクル事業者や産業廃棄物処理事業者でした。
しかし販売を進めるなかで、商社の受入検査や製造業の品質管理、競合製品分析、自社排出樹脂のリサイクルなど、想定外の用途が次々と見つかります。
約90万円という価格帯もあり、当初想定していた市場だけでは成長に限界があります。
一社への導入後、次はどの業界・企業へアプローチすべきか。新規事業ならではの、「誰が本当のお客様なのか」という課題に直面していました。
アクセス数は分かる。でも誰が見ているかは分からない
樹脂判別ハンディセンサーのWebサイトでは、広告やSEOによる集客を行っていました。
GA4では、セッション数やページビュー、アクティブユーザー数、コンバージョンの有無など、サイト内の行動を把握できます。
しかし、それだけでは、実際にどの企業が製品に興味を持ち、どの業界からアクセスしているのかまでは分かりません。
想定したターゲットなのか、まだ気づいていない業界や用途から関心を持たれているのかも判断できませんでした。
新たな市場を探るには、サイト上の行動だけでなく、その行動を起こしている企業を捉える必要があります。
そこで導入したのが、Webサイトを訪問した企業をIPアドレスから分析できる「どこどこJP」です。
企業単位のアクセス状況を把握することで、どの業界や規模の企業がサイトを見ているのか、想定外の業界から関心が寄せられていないかを確認できるようになりました。

匿名だったアクセスを次の市場を見つけるデータへ
経営企画本部 環境・エネルギー事業センター様では、GA4、どこどこJP、NotebookLM、Claudeを組み合わせた独自のアクセス企業分析を行っています。
GA4でセッション数やアクティブユーザー数、コンバージョンなどの行動を確認し、
どこどこJPのアクセス企業データを掛け合わせることで、「どの企業が、どの程度の関心を持っているのか」を企業単位で分析します。
当初はExcel上でデータを目視し、該当企業を手作業で抽出していました。
しかし、データ量の増加に伴い、企業ごとの行動を確認・分類する負担も大きくなっていきます。
そこで、CSVデータをNotebookLMに読み込ませ、企業ごとのアクセス傾向や特徴を整理。
さらにClaudeでも再分析・検証し、複数のAIによる異なる視点を組み合わせています。
それぞれの分析結果を照合することで、訪問企業が抱えていると考えられる課題や、製品との親和性、想定される用途をより具体的に整理しています。

初回訪問と継続訪問ではアクセスの意味が違う
アクセス企業を分析する際、企業名やセッション数だけを確認しているわけではありません。
初回訪問か継続訪問か、短期間に何度もサイトを見ているか、一つの企業から複数のユーザーがアクセスしているか。
こうした行動を組み合わせ、企業の関心度を分析しています。
例えば、初回訪問で複数ページを閲覧している企業は、具体的な課題を抱え、情報収集を始めた可能性があります。
一方、複数回訪問している企業は、製品の比較検討や社内での情報共有が進んでいる可能性があります。
同じ一回のアクセスとして扱うのではなく、訪問回数や閲覧行動から意味を捉え直すことで、より関心度の高い企業を見つけられるようになりました。
想定していなかった製造業から新たな用途が見えてきた
どこどこJPでアクセス企業を分析した結果、当初のメインターゲットだったリサイクル事業者だけでなく、製造業からも多くのアクセスがあることが分かりました。
企業の業種や事業内容、サイト上の行動を詳しく見ると、樹脂判別ハンディセンサーが求められる場面は、リサイクルの現場だけではないことも見えてきました。 例えば、輸入した樹脂製品の受入検査、製造工程における品質管理や品質保証、競合製品に使われている樹脂の分析、自社排出樹脂の再資源化などです。
こうしたアクセスから、品質管理、SDGs推進、樹脂リサイクル、廃棄コスト削減といった新たな訴求の切り口も見つかりました。
想定ターゲットだけをもとに市場を考えるのではなく、実際の訪問企業から新しい顧客像や用途の仮説をつくる。
アクセス企業分析によって、ペルソナ検証とPSFからPMFへ向かう取り組みが前進しています。

企業名の一覧ではなく「なぜ注目すべきか」を営業へ
アクセス企業が分かっても、企業名の一覧をそのまま営業部門へ渡すだけでは、次のアクションにはつながりにくいものです。
営業担当者が必要としているのは、サイトを訪問したという事実だけではありません。
なぜ注目すべきなのか、どの用途に関心を持っていそうか、どのような課題を抱え、どんな切り口で提案できるのかという情報です。
さらにこちらの事業部様では、アクセス頻度や閲覧行動に加え、
既存顧客との業種・事業内容の類似性、製品との親和性、想定される課題や用途を組み合わせ、企業ごとの営業優先度を整理しています。
製造業からのアクセスであっても、単に「製造業が見ている」と判断するのではありません。
事業内容や既存顧客の活用パターンと照らし合わせ、品質管理、受入検査、競合製品分析、樹脂の再資源化など、関心を持った目的を推測します。
匿名アクセスと行動データ、AI分析を組み合わせることで、アクセスデータを、営業担当者が次の一手を考えるための支援情報へと発展させています。

PSFからPMFへ 匿名アクセスが、次の市場を教えてくれる
新規事業では、一社目の顧客を見つけたあと、その成功をどの業界や企業へ広げていくかが次の課題になります。
どこどこJPでWebサイトを訪問している企業を可視化し、GA4の行動データやAI分析と組み合わせることで、ペルソナ仮説の検証を進めています。
どの業界から関心を持たれているのか。既存顧客とどのような共通点があり、どんな用途や課題が考えられるのか。
企業のアクセスを起点に仮説をつくることで、これまで見えていなかった市場や訴求の可能性を発見できるようになりました。
現在は、こうした分析をさらに営業活動へ結び付ける取り組みを進めています。
今後は、企業ごとの関心度や想定用途を営業部門と共有し、新規市場の開拓や販路拡大につなげていく考えです。
インタビュー企業プロフィール
株式会社リコー
事業内容
【“はたらく”に寄り添い、新しい価値を】
複合機やプリンターなどのデバイスに加え、アプリケーションや各種サービスを通じて、さまざまなワークプレイスを支える企業です。
培ってきた技術を活かし、樹脂の種類をその場で判別できる「RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150」も展開。プラスチックの分別や再資源化を支援しています。
株式会社リコー
URL:https://www.ricoh.co.jp/
樹脂判別ハンディセンサー
URL:https://www.ricoh.co.jp/products/list/ricoh-handy-plastic-sensor-b150



