自社に合うMAツールは、対象顧客がBtoBとBtoCのどちらであるかや、解決したい課題を踏まえて絞り込んでいきます。本記事では、事前の状況整理から具体的な比較基準、おすすめ製品の特徴までを順に解説します。

この記事の要約

  • 顧客層の特定と現在のマーケティング課題の洗い出しから、自社に合うツールの選定を始める
  • 導入時は既存システムとの連携性や担当者のITスキルに合う操作性を評価基準に据える
  • BtoB向けはSFA連携や匿名リードの可視化に優れ、商談創出に強い製品が中心となる
  • BtoC向けは複数チャネルを活用し、リアルタイムな顧客行動の解析に特化している
  • 運用を成功させるには部門間で有望なリードの定義を統一し単純な施策から始める

MAツールの比較を始める前に整理しておくべき自社の状況

MAツールの比較検討を本格化させる前に、自社の事業形態と解決すべき課題を明確にします。自社の現状を把握せずに機能だけを比較すると、実際の運用に合致しないツールを選んでしまう可能性があります。


整理すべき観点 具体的な判断基準
対象とする顧客層 BtoB(法人向け)かBtoC(個人向け)かを特定する
重視する課題 リードの獲得と育成のどちらにリソースを割くかを見極める

対象とする顧客層がBtoBとBtoCのどちらなのかを明確にする

自社がアプローチする顧客が法人と個人のどちらであるかによって、必要となるツールの種類が分かれます。BtoB(法人向け取引)とBtoC(個人向け取引)では、購買に至るまでのプロセスや検討期間が大きく異なります。

たとえば法人の場合、複数の担当者が関与し数ヶ月にわたって検討を進めます。一方の個人は、SNSやメールを通じた直感的な判断で購入を決める傾向があります。顧客層に合わせて適切な製品群を絞り込みます。

リード獲得と育成のどちらに重い課題があるかを洗い出す

マーケティングプロセスのうち、見込み客の獲得と育成のどちらを強化したいかを見極める必要があります。製品によって得意とする領域が分かれています。ウェブサイトの訪問者が少なく新規顧客を集めたい場合は、広告連携やポップアップ機能が充実したツールが適した選択です。すでに名刺情報は多数あるものの商談に繋がっていない状況なら、メール配信やスコアリング機能に優れたツールを選定します。

自社に合う製品を比較検討する際の基準

自社の状況を整理したあとは、実際の運用を見据えて製品の仕様を評価します。機能の豊富さだけでなく、社内の体制に適合するかを確かめます。


比較検討の観点 評価の要点
システム連携性 既存のSFAやCRMとデータを自動で同期できるか
操作の難易度 運用担当者が直感的にシナリオを構築できるか
サポート体制 初期設定から運用定着まで伴走型の支援があるか
匿名企業の可視化 IPアドレスをもとにウェブサイト訪問企業を特定できるか

既存のSFAやCRMシステムとスムーズに連携できるかを確認する

社内で稼働しているSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)と、データを自動で同期できるかを確かめます。マーケティング部門が獲得した情報を営業部門へ迅速に引き継ぐうえで、システム間の連携は重要な要素といえます。

たとえば主要なシステムを利用している場合、標準のデータ連携機能を備えたMAツールを選ぶと開発の手間を省けます。情報の分断を防ぐことで、営業活動の効率化につながりやすくなります。

運用担当者のITスキルに見合った操作性を備えているかを評価する

実際にツールを操作する担当者のITリテラシーに応じて、直感的に扱える画面設計であるかを評価します。高機能な製品を導入しても、操作が難しければ社内に定着しません。プログラミングの知識がなくても、ドラッグアンドドロップでメールの配信シナリオ(顧客の行動に応じた自動配信の条件)を組める製品が存在します。無料のトライアル期間やデモ画面を活用し、実務を想定した操作感を事前に確かめます。

初期設定から運用定着まで伴走してくれるサポートがあるかを見極める

導入時の初期設定だけでなく、シナリオの設計や効果測定の方法まで継続的に支援してくれるベンダーを選びます。MAツールは導入して終わりではなく、運用を回しながら施策を改善していく前提のツールです。チャットや電話での技術的な問い合わせ対応に加えて、専任のコンサルタントが定期的にミーティングを開いてくれるサービスも提供されています。自社のノウハウが不足している場合は、サポートの手厚さを重視します。

BtoBでは企業情報の取得・外部データ連携も確認する

BtoB企業がMAツールを比較する際は、メール配信やスコアリングなどの基本機能に加えて、企業情報をどこまで活用できるかも確認しておくとよいでしょう。

MAツールによっては、Webサイトを訪れた匿名ユーザーの行動を分析できるものもあります。一方、アクセス元の企業名や業種などを把握する機能については、製品ごとに対応状況が異なります。

たとえば、IPアドレスをもとに企業情報を判定する外部データサービスと組み合わせることで、フォーム送信前のアクセスについても、企業単位での分析が可能になる場合があります。

特にABMや企業単位のマーケティング施策を重視する場合は、MAツールの標準機能だけでなく、外部データとの連携方法も比較項目に加えることをおすすめします。

【関連記事】どこどこJPと連携しているMAツール|どこどこJP ナレッジセンター

BtoB企業におすすめの主要なMAツール

法人向けのマーケティング活動を効率化し、営業部門との連携を強めるMAツールを紹介します。それぞれ異なる強みを持っています。


ツール名 主な特徴
Marketing Cloud Account Engagement Salesforce製品との強力な連携による営業効率化
HubSpot Marketing Hub インバウンド手法に特化した統合的なマーケティング基盤
SATORI 匿名リードの獲得から育成までを網羅する国産ツール
BowNow 無料プランが用意されたシンプルな操作設計
Adobe Marketo Engage 高度なシナリオ構築と大規模な顧客データ運用に対応

Marketing Cloud Account Engagement

Salesforceが提供するBtoB向けのMAツールであり、同社のSFAとシームレスに連携できる点が大きな特徴です。マーケティング部門と営業部門で顧客データをリアルタイムに共有し、有望なリードを素早く商談に結びつけます。顧客のウェブサイト上の行動履歴を営業担当者が使い慣れた画面で確認できるため、関心が高まっているタイミングを捉えた提案がしやすくなります。すでにSalesforceを導入している企業に適した選択肢です。

参考:B2Bマーケティングオートメーションプラットフォーム | セールスフォース・ジャパン

HubSpot Marketing Hub

有益なコンテンツを発信して顧客を見つけるインバウンド手法の実践に必要な機能が統合されたプラットフォームです。ブログの作成やSEO対策、SNSの管理からリードの育成までを一つのシステムで完結させます。直感的なインターフェースを採用しており、複雑な設定を伴わずにマーケティング施策を展開できます。無料のCRM機能と組み合わせて小規模から始められる点も魅力です。

参考:成果を何倍にも拡大するAI搭載のマーケティングソフトウェア|HubSpot(ハブスポット)

SATORI

実名化される前の匿名リードに対するアプローチに強みを持つ、国産のMAツールです。ウェブサイトにタグを埋め込むだけで、問い合わせ前の訪問者に対してもポップアップ表示や広告配信を通じた育成を実施できます。日本の商慣習に合わせた画面設計を採用しており、直感的な操作が可能です。新規顧客の獲得に課題を感じている企業にとって、有力な解決策となります。

参考:マーケティングオートメーションツール SATORI

BowNow

導入のハードルを極力下げ、シンプルな機能に絞り込んだMAツールです。複雑なシナリオ設定を省き、見込み客の抽出とメール配信という基本的な用途に特化しています。初期費用なしで利用できるプランが用意されており、コストを抑えてスモールスタートを切りたい企業に向いている製品です。初めてMAツールを導入する現場でも、迷わずに運用を開始できます。

参考:【公式】マーケティングオートメーション BowNow(バウナウ)

Adobe Marketo Engage

大企業向けに設計されており、高度なシナリオ構築と大規模な顧客データ運用に対応する製品です。顧客一人ひとりの行動や属性に応じた、きめ細かい最適化を実現します。モバイル通知やウェブサイト上の動的コンテンツなど、複数のチャネルをまたいだ複雑な施策を自動化する仕組みを備えています。専任のマーケティングチームを持ち、高度な運用を目指す組織に合致しています。

参考:Adobe Marketo Engage | Marketing Automation Platform

BtoC事業向けの機能が豊富なMAツール

個人向けの事業を展開する企業に適した、大量の顧客データをリアルタイムに処理できるMAツールを取り上げます。複数チャネルでのコミュニケーションに優れています。


ツール名 主な特徴
KARTE ウェブサイト上の顧客行動をリアルタイムに解析・対応
b→dash データの統合からシナリオ配信までを一つの画面で完結させる
カスタマーリングス 細かな顧客セグメントの作成とパーソナライズ配信に特化

KARTE

ウェブサイトやスマートフォンアプリを訪れた顧客の行動を、リアルタイムに解析するプラットフォームです。訪問者の過去の購買履歴や現在の閲覧状況を瞬時に把握し、一人ひとりに適したメッセージをポップアップやチャットで提示します。オンライン上でも店舗で接客されているような体験を提供し、顧客満足度の向上を図る仕組みです。ECサイトや会員向けサービスを運営する企業に多く導入されています。

参考:CXプラットフォーム「KARTE」

b→dash

社内に散在するさまざまなデータを統合し、マーケティング施策に活用するまでの工程を一つの画面で完結させるツールです。通常はエンジニアの力が必要になるデータの抽出や加工を、マーケティング担当者自身が直感的な操作で行えます。LINEやメールなど複数のチャネルを組み合わせた配信シナリオも容易に構築可能です。データ分析に基づく高速な施策の改善サイクルを実現します。

参考:b→dash(ビーダッシュ) | AI時代のデータ基盤

カスタマーリングス

顧客データを深く分析し、顧客グループ(セグメント)を作成することに特化したシステムです。年齢や性別だけでなく、購買間隔や閲覧商品の傾向などを掛け合わせ、特定のターゲットに対して狙ったタイミングでメールやLINEを配信できます。アンケート機能を利用して顧客の声を直接収集し、施策の改善に生かすことも可能です。リピート購入の促進に課題を抱える企業に有効です。

参考:カスタマーリングス|CRM/MAツールから進化した統合プラットフォーム

MAツールと組み合わせたい企業アクセス分析とは?

MAツールだけではアクセス元企業を把握しきれない場合がある

MAツールは、メール配信やスコアリング、Webサイト上の行動分析などを通じて、見込み顧客の育成を支援するシステムです。


製品によっては匿名ユーザーの行動分析にも対応していますが、必ずしもアクセス元の企業名や業種まで把握できるとは限りません。

特にBtoBマーケティングでは、問い合わせや資料請求に至らなかったアクセスの中にも、自社がターゲットとしている企業からの訪問が含まれている可能性があります。

そのため、個人の行動履歴だけでなく、「どのような企業からアクセスされているのか」という視点を加えることで、ターゲット企業の分析やマーケティング施策の改善につなげられます。

IPアドレスによる企業判定で分析の幅を広げる

アクセス元企業を把握する方法の一つが、IPアドレスをもとに企業情報を判定する仕組みです。

株式会社Geolocation Technologyが提供する「どこどこJP」は、IPアドレスに紐づく企業名や業種、所在地などの属性情報を取得できるサービスです。

MAツールやアクセス解析ツールと組み合わせることで、Webサイトへのアクセスについて「どの企業・業種から訪問されているのか」という分析軸を加えられます。

たとえば、既存のハウスリストに登録されている企業からのアクセスを確認したり、ターゲット業種ごとの閲覧傾向を分析したりすることで、コンテンツ改善や営業フォローの優先順位を検討する材料として活用できます。

ただし、企業アクセスから訪問者個人を特定できるわけではありません。既存のリード情報や営業履歴などと組み合わせながら活用することが重要です。

導入後の運用を軌道に乗せるには

ツールを選定して導入したあと、実務として定着させるための手順を整理します。事前の社内調整と段階的な活用が成功の鍵を握ります。


運用の要点 具体的なアプローチ
部門間の連携 営業とマーケティングで有望なリードの定義をすり合わせる
段階的な運用 最初から複雑なシナリオを組まずシンプルなメール配信から始める

営業部門とマーケティング部門で有望なリードの定義をすり合わせる

ツールを稼働させる前に、どのような条件を満たしたリードを営業に引き継ぐべき有望な見込み客とするか、部門間で基準を明確にします。マーケティング部門が単に資料をダウンロードしただけの顧客を渡しても、営業部門は対応しきれず不満を抱く原因となります。特定の製品ページを複数回閲覧した企業などの具体的な定義を設け、認識を共有するプロセスが必要です。基準を統一することで、引き渡し後の商談化率の向上が期待できます。

最初から複雑なシナリオを組まずにシンプルなメール配信から始める

導入直後は高度な自動化を目指さず、手動でのメール一斉配信や簡単な条件分岐から運用を開始します。初めから何重にも分岐する複雑なシナリオを構築しようとすると、設定に時間がかかり挫折する原因となります。まずは既存の顧客リストに対して定期的なメールを送り、開封率やクリック率の傾向を把握します。得られたデータをもとに、徐々に施策を自動化していくアプローチが着実に進めやすい方法です。

まとめ

自社に合うMAツールを選ぶには、対象がBtoBかBtoCかを明確にし、解決したい課題を特定したうえで機能を比較します。既存システムとの連携性や担当者のスキルに合う操作性を評価し、部門間で有望なリードの定義をすり合わせながらスモールスタートを切ることで、導入後の運用が軌道に乗ります。

BtoBマーケティングでは、MAツールで見込み顧客の行動を分析するだけでなく、「どのような企業からWebサイトにアクセスされているのか」という視点も重要です。

MAツールによっては匿名ユーザーの行動分析に対応していますが、企業名や業種などの情報を把握するには、外部データとの連携が有効な場合があります。

株式会社Geolocation Technologyが提供する「どこどこJP」は、IPアドレスをもとにアクセス元企業の情報を判定できるサービスです。MAツールやアクセス解析ツールと組み合わせることで、企業属性を活用した分析やマーケティング施策の検討に役立てられます。

「MAツールを導入しているものの、どのような企業が自社サイトを訪れているのか分からない」という方は、企業アクセス情報を活用した分析も検討してみてください。月額1.2万円から利用できるプランや14日間の無料トライアルも用意されています。まずは自社サイトにどの企業が訪問しているかを実際のデータで確かめたい場合は、無料トライアルからお試しください。MAツールの選定と並行して検証することで、導入後に「誰にアプローチするか」で迷わない体制を整えられます。

参考:ご利用登録 | IP Geolocation API どこどこJP

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