社内システムのセキュリティ強化やクラウドツールの導入時に、IPアドレス制限の設定が必要になることがあります。本記事では、IPアドレス制限の仕組みから、導入のメリットとデメリット、安全に運用するための具体的なポイントを解説します。

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IPアドレス制限とはどのような仕組みか

IPアドレス制限は、アクセス元のIPアドレスをシステム側で判別して、通信の可否を決定する仕組みです。

主にホワイトリスト方式ブラックリスト方式の2つの方式が存在します。


許可されたIPのみを受け入れるホワイトリスト方式を採用する

ホワイトリスト方式は、事前に登録した安全なIPアドレスからのアクセスのみを許可し、それ以外をすべて遮断する仕組みです。

企業のオフィスにある固定IPアドレスなどを登録しておけば、外部の第三者が社内システムに侵入するのを防げます。

原則としてすべてを拒否するため、高いセキュリティレベルを維持でき、社内の基幹システムや機密情報を扱うサーバーなどで広く採用されています。

不正なIPからの接続を弾くブラックリスト方式で攻撃を防ぐ

ブラックリスト方式は、過去に不正アクセスや攻撃を行った危険なIPアドレスを登録し、そのIPからの通信のみを拒否する仕組みです。

基本的にはすべてのアクセスを許可しつつ、明らかに悪意のある通信だけをブロックします。

一般公開されているWebサイトやサービスで、特定の迷惑なユーザーやサイバー攻撃を排除する用途に向いています。

しかし、未知の攻撃者やIPアドレスを変更してくる相手には対応しきれない弱点があります。

一方で、ブラックリスト方式はWebサイトや問い合わせフォームへの迷惑アクセス、海外からの大量アクセスなど、既知の不正アクセスを遮断する手段として現在も広く利用されています。

ただし、遮断すべきIPアドレスは日々変化するため、自社でブラックリストを維持・更新し続けるには大きな運用負荷がかかります。

クラウド移行に伴う情報保護の観点で重要性が高まっている

近年、企業の業務システムがクラウドへ移行していることで、IPアドレス制限の重要性はさらに高まっています。

クラウドサービスはインターネット経由でどこからでもアクセスできる利便性がある反面、IDとパスワードが漏えいすれば誰でも侵入できてしまう不正ログインのリスクを伴います。

そこで、認証情報に加えてアクセス元のIPアドレスを制限することで、第三者による不正ログインのリスクを大きく低減できます。

IPアドレス制限を導入するメリット

IPアドレス制限を取り入れることで、企業はさまざまなセキュリティ上の恩恵を受けられます。

主なメリットを整理します。


外部からの不正アクセスや情報漏えいのリスクを減らせる

IPアドレス制限の最大の恩恵は、第三者による不正アクセス情報漏えいのリスクを大幅に減らせることです。

万が一従業員のIDとパスワードが流出しても、登録されていないIPアドレスからはシステムにログインできません。

二重の防壁を築くことで、企業の大切なデータを守れる可能性が大きく高まります。

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スパムやサイバー攻撃によるサーバーの処理負荷を軽減できる

不正な通信をサーバーの入り口で弾くことで、システムへの処理負荷を軽減できます。

大量のデータを送りつけてサーバーをダウンさせるDoS攻撃や、機械的なスパム送信を試みるアクセスは、特定のIPアドレスから繰り返し行われるケースも少なくありません。

こうした送信元が判明している悪意ある通信をIPアドレスの段階で遮断すれば、正常な業務への影響を最小限に抑えられます。

クラウドツールの標準機能を利用して比較的簡単に導入できる

多くのクラウドサービスやグループウェアには、IPアドレス制限の機能が標準で備わっており、手軽に導入できます。

専用のセキュリティ機器を購入したり、複雑なネットワーク構築を行ったりする必要はありません。

管理画面から許可したいオフィスのIPアドレスを入力するだけで設定が完了するため、専任のIT部門がない企業でもすぐにセキュリティ対策を始められます。

運用時に気をつけるべきデメリット

高い防御力を持つIPアドレス制限ですが、働き方の変化やネットワーク環境によっては運用上の壁にぶつかることがあります。

気をつけるべき注意点を解説します。


在宅勤務や出張先など指定外の場所からのアクセスが困難になる

IPアドレス制限を厳格に設定すると、オフィス以外の場所から業務システムへアクセスできなくなります。

従業員が自宅のインターネット回線や出張先のホテル、カフェのWi-Fiからログインしようとしても、登録外のIPアドレスと判定されて弾かれます。

テレワークや柔軟な働き方を推進している企業にとっては、業務効率を低下させる要因になります。

従業員のIPが変わる動的環境ではリスト更新の手間が増大する

従業員の接続環境が「動的IPアドレス(専門用語:インターネット接続のたびに割り当てが変わるIPアドレス)」の場合、管理者のリスト更新の手間が膨大になります。

一般家庭のインターネット回線やスマートフォンの通信では、IPアドレスが変動することがあります。

IPが変わるたびにシステムへのアクセスができなくなり、その都度管理者が新しい数値を調べ直してホワイトリストに登録しなければなりません。

ネットワーク内部での犯行やなりすまし通信は完全に防げない

IPアドレス制限は外部からの侵入には強い反面、ネットワーク内部からの不正行為なりすましには無力です。

許可されたオフィス内のパソコンを使った情報の持ち出しや、悪意のある従業員による不正操作は防げません。

攻撃者が通信経路を偽装して許可されたIPアドレスになりすます高度な攻撃を受けた場合、システム側は正規のアクセスだと誤認してしまいます。

どのような場面でIPアドレス制限が役立つか

実際の業務において、IPアドレス制限は具体的にどのような場面で活用されるのでしょうか。

代表的な利用シーンを紹介します。


勤怠管理や経理システムなど機密情報を扱う業務ツールを守る

従業員の個人情報や会社の財務データを扱う勤怠管理システム経理システムは、IPアドレス制限の導入に適した代表例です。

これらのシステムは外部に公開する必要がなく、業務時間内に社内の特定の場所からアクセスできれば十分です。

ホワイトリスト方式でオフィスのIPアドレスのみを許可することで、情報漏えいのリスクを大きく下げられます。

BtoB向けに提供するAPIの利用元を契約済みの特定企業に絞り込む

他社に提供しているAPI(専門用語:ソフトウェア同士を連携させるためのインターフェース)の利用を制限する場面でも役立ちます。

APIを不特定多数に公開すると、想定外の大量アクセスによるサーバーダウンデータの不正取得を招く恐れがあります。

契約を交わした取引先の企業のIPアドレスだけを許可リストに登録しておけば、安全かつ安定したサービス提供が可能です。

日本国内向けのサービスで海外からの不審なアクセスを遮断する

日本国内のユーザーのみを対象としたWebサイトやサービスでは、海外からのアクセスを丸ごとブロックする対策が有効です。

サイバー攻撃スパム送信は、海外のサーバーを経由して行われるケースも少なくありません。

利用者のいない海外IPアドレスからの通信をブラックリストとして一律に拒否することで、不要なリスクとサーバー負荷を未然に排除できます。

さらに、企業によっては海外IPアドレスだけでなく、VPNプロキシ経由のアクセス、データセンター経由の通信なども制御対象としたいケースがあります。

そのような場合は、IPアドレスの詳細な属性情報を活用することで、より柔軟なアクセス制御が可能になります。

IPアドレス制限を安全に設定して運用するポイント

IPアドレス制限のデメリットを克服し、自社の環境に合わせて安全に運用するための具体的なポイントを解説します。


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設定ミスによる締め出しを防ぐため代替のログイン経路を残す

設定時の入力ミスなどで管理者自身がシステムから締め出される事態を防ぐため、代替のログイン経路を確保しておきます。

管理者の自宅のIPアドレスを予備として登録しておく、あるいは制限の影響を受けない緊急用の管理アカウントを別途用意するといった対策が有効です。

トラブルが起きても、システムへのアクセス権を失う締め出しリスクを回避できます。

多要素認証など他のセキュリティ対策と組み合わせて多層防御する

IPアドレス制限だけに頼るのではなく、多要素認証(MFA)など他のセキュリティ対策と組み合わせることが重要です。

IPアドレス制限は入り口の防壁として有効ですが、それ単体ですべてのリスクをカバーすることはできません。

IDとパスワードに加えて、スマートフォンの認証アプリやSMSによるワンタイムパスワードなどを併用する多層防御を構築すれば、セキュリティレベルはさらに強固になります。

リモートワーク環境では固定IPやVPNの併用を検討する

テレワーク環境でIPアドレス制限を導入する場合は、固定IPアドレスの契約やVPN(専門用語:インターネット上に仮想の専用線を構築し安全に通信する技術)の併用が現実的な解決策です。

従業員が自宅からVPNサーバーに接続すると、会社が指定した固定IPアドレスを経由してシステムにアクセスする形になります。

安全な通信経路を確保しながら、動的IPアドレスの問題もクリアできます。

まとめ

本記事では、IPアドレス制限の仕組みから、メリット・デメリット、効果的な運用方法まで解説しました。

  • IPアドレス制限は外部からの不正アクセスや情報漏えいを防ぐ強力な対策である
  • ホワイトリスト方式ブラックリスト方式があり、社内システムにはホワイトリストが適している
  • テレワーク環境ではアクセスが弾かれるなどのデメリットに注意が必要である
  • 運用時は多要素認証VPNと組み合わせた多層防御を構築する

自社の働き方や守るべき情報の重要度に合わせてIPアドレス制限を適切に設定し、安全なシステム環境を整えましょう。

IPアドレス制限をより効率的に運用するには

IPアドレス制限は、不正アクセス対策として有効な仕組みですが、実際の運用では次のような課題があります。

  • ブラックリストの更新作業が大変
  • VPNやプロキシ経由のアクセスを判別したい
  • 海外アクセスだけでは十分な対策にならない
  • 企業単位でアクセス制御したい

どこどこJPでは、IPアドレスを企業・国・地域・匿名ネットワーク・データセンターなどの属性情報として判定できます。

そのため、ブラックリスト方式ホワイトリスト方式をより効率的に運用し、Webサイトや問い合わせフォームへの不正アクセス対策、企業向けサービスのアクセス制御などに活用できます。

IPアドレスを活用したアクセス制御をご検討の方は、お気軽にどこどこJPまでお問い合わせください。

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